「二相ステンレス(KSUS329J3L)クラッド鋼と二相ステンレス(KSUS329J3L)鋼との組み合わせ」を世界で初めて採用したオール二相ステンレスカーゴタンクタイプケミカルタンカーが竣工

株式会社 臼杵造船所(代表取締役社長:角田二朗)で建造のショクユタンカー株式会社殿(代表取締役社長:外山尚人)向け、12,500MT型ケミカルタンカー「SUN JUPITER」が2019年6月3日に竣工した。

株式会社 臼杵造船所は、6年前にカーゴタンクに世界初となる二相ステンレス(KSUS329J3L鋼板、以下、二相ステンレス)鋼板とオーステナイト系ステンレス(KSUS316L)クラッド鋼板とを組み合わせた、通称“ハイブリッドタンクタイプ”ケミカルタンカーの研究開発を一般財団法人 日本海事協会の共同研究スキームにより取り組み、今までに8隻のケミカルタンカー(12,500MT型×5隻、16,000MT型×3隻)を竣工させた。開発当時は、ケミカルタンカー用の二相ステンレスクラッド鋼板の製造が困難であったため、カーゴタンク全てに二相ステンレス鋼を採用することができなかった。

その後、JFEスチール株式会社が二相ステンレスクラッド鋼板の製造方法を確立したことにより、二相ステンレスクラッド鋼板と二相ステンレス鋼板とを組み合わせたケミカルタンカー建造に向けた、耐腐食性、接合界面の強度特性、溶接性、および溶接継手部の疲労強度などの評価・検証を2016年から2017年にかけて行ってきた。

今回、竣工した「SUN JUPITER」は、評価・検証で得た知見をもとに、設計・建造された、世界で初めて二相ステンレスクラッド鋼板と二相ステンレス鋼板とを組み合せた、通称“オール二相ステンレスカーゴタンクタイプケミカルタンカー”である。本船は、二相ステンレスカーゴタンクを16タンク備え、性能面でもエコシップデザインを採用している。

二相ステンレス鋼板は、従来からケミカルタンカーで使用されている耐食性が良好であるSUS316L鋼板に比べ、耐孔食性や 耐リン酸腐食性などが更に優れている。

株式会社 臼杵造船所は今後とも、船舶建造を通じて、安全性、信頼性向上に努めるとともに、多様なニーズに積極的に取り組んでいく。

(参考) 二相ステンレス(KSUS329J3L・S32205)鋼板、
     オーステナイト系ステンレス(KSUS316LN)鋼板 および
     オーステナイト系ステンレスクラッド鋼板合せ材(KSUS316L)
     の化学成分

             Cr         Ni         Mo
KSUS329J3L*1    21.00~24.00%       4.50~6.50%       2.50~3.50%
S32205*2        22.00~23.00%     4.50~6.50%       3.00~3.50%
KSUS316LN*3     16.50~18.50%      10.50~14.50%     2.00~3.00%
KSUS316L*4     16.00~18.00%      10.00~14.00%     2.00~3.00%

*1 KSUS329J3Lは日本海事協会の鋼船規則により承認された材料
*2 海外では、DUPLEXステンレス鋼板の規格として、S32205(船級規格材として設計されていて、通常、LR32205、DV32205およびBV32205として使用されている)が使用されているが、上記のとおり、KSUS329J3Lと 同じ成分設計
*3 KSUS316LNは日本海事協会の鋼船規則により承認された材料
*4 KSUS316Lは日本海事協会の鋼船規則により承認された材料